2月7日〜9日に沖縄で行われた日本臨床作業療法学会、はじめの2日間は分科会.
楽しい分科会でした.まずは各発表の概要です.
山口さんの講義
この分科会の目的は共創
「みんなの作業療法の物語を作る」「盛り上げて参加型で!」
Whyが重要
「みなさんはなぜ沖縄に来たんですか?なぜこの分科会に参加したのですか?」
幼稚園の先生のWhyを共有し,先生のWhyから始まる集団プログラム,遊びの提供を大切にしている.
なぜOBP
子供達のポテンシャルを引き出せる!「参加」の中だから引き出せる。外来で子どもを見ていた経験からわかった。箱(病院)のなかでは絶対解決しない、街に出た。作業にはパワーがある!問題解決はひとつ問題を取り除くとまた問題が出てくる。問題解決型から自己実現型へ。
実際の先生の変化。受け身でOTにおまかせだった先生⇒「OTより私達が上手よ!集団は私達の専門だもの」と先生。
OTは最高の技術を持った黒子になれ!
クライエントの作業の実現が,生活に、人生に波及されていく…
続いては
成瀬さん:PT(福井大学医学部付属病院)
「本ケースが自分にとって衝撃的だったので、皆さんにご意見をいただきたい」と発表の目的を語ってスタート。
心因性の歩行障害。機能面での問題は全くなかったのに 歩けない6年生の男の子との関わりを通して、PTとしてのアイデンティティを考える機会となった。
「彼と関わる中で、A君が変わるり、A君の様子を見てPT(僕)も変わっていくことを感じた」と話す。
成瀬さんは他職種(PT)としてOTの存在について語ってくれた。「PTは歩行訓練をするが”何のために歩きたいのか”その目的を重視する視点を持っていなかった。OTと仲良くなりたい。
高畑さん(奈良県総合リハビリテーションセンター)
本研究と発表の目的について「SIの効果研究は僕のアイデンティティ。エビデンスのなさを指摘された過去の経験が自分を動かしている」と語る。
字が読めないLDのお子さんについて、”字を読む”の技能のベースとなっている,姿勢・両側統合・視機能の改善に介入し、読字の改善に影響を与えたことを報告した。
字を読めない⇒「楽しい作業」を通して書字能力を向上させたい!
狩野さん(奈良県総合リハビリテーションセンター)
友達のペースについていけず,学校の準備が遅く,友達と一緒にできる遊びがすくなかった男の子。何事も「できない」「わからない」が口癖だった。
どうしてできないのか?その原因であった#自身の動きとイメージができない,#遊びのアイディアが出ない,#順序立てられない の改善に向けた介入で,できる事が増えていった。
一番の変化は…「〜しよう」「やってみよう」と意志が生まれたこと。
CLが作業を選択していくために重要な,「したい」「やってみよう」を支える作業療法でした。
− 2日目は私の講義からスタート −
仲間 講義
なぜ作業に焦点を当てるのか?
- 今生活を変えることができる
- クライエントが主体になれる
- 協働関係を築ける
- エンパワメントを引き出せる
1.子どもの今できるようになってほしい作業は、今することに意味がある。作業ができる事で人と人をつなぎ、人と社会をつなぐ。つながった人と社会(友達・先生)は作業を通して影響しあう。作業ができる事は,人を育てその子が人生を共にする社会を育てる。
2.自分のしたいことだから、CLは主体的になれる。OTが扱う作業遂行の情報は生活リスク。医学リスクは生活を制限するが、生活リスクは生活の可能性を引き出す。
3.作業の実現に向けた協働関係の上で,誰もが笑顔で支援に参加できる。作業療法士はこの共同関係の中にいる存在であり、かつ協働関係を支える黒子の存在でもある。
4.人と人、人と社会がつながった生活の中で,支援される側もする側も最高のパフォーマンスを出そうと自分で問題を解決していく。そのエンパワメントにすごい力がある。
山口さん
「保育士が専門家の手を離れ、先生が支援計画を立案し子どもの行動を変容していくべきなんだ。」
ADOC-S+GASで目標を保育士が主体的に設定していくことの効果を研究。遂行度より満足感が強く向上することなど,その効果を報告。
「GASによるスモールステップを明確にすることで,保育士が子どもの成長の変化を捉えることを助ける」
「GASを面接で取ることで、いつ どこで どんなふうに、という具体的目標として浮き彫りになる。同時進行、時間短縮、面接の技術のサポートが期待される」
村上さん(キャスパーアプローチ)
「いまできる」を支える重要性をケースを通して報告。
治療をするのではなく、今生活を変える。姿勢を安定させることは「手段」大切なことはその先ににある。その時に、その瞬間、それができることの大切さがある。
やりたいと思うからこそ力になる。開放された環境でないと子どものパワーは出ない「設定された環境では出ない」 障がいに合わせた椅子作りではダメなんだ!やりたい事を実現するために道具を作ることが自分の役割。
「人工的に作った目標は本来の人間の本能を無視している」と近藤さん。
「目標を決めるおこがましさを考えさせられる」と山口さん。
「目標を決めるおこがましさを考えさせられる」と山口さん。
佐藤さん(奈良総合リハビリテーション)
自分を感じられないから,人を意識できなかった男の子。自分を意識できるように身体図式を改善していくための遊びの段階付(輪郭 Passiveから運動 Active)を行った。
人とのつながりの中の自分を意識できるようになってほしい!
子どもが作業を選択していくために,自分を知り,他者を意識し,そして社会の中の自分の存在価値や役割を意識できることが重要。今回の発表はそのベースを育む作業療法でした。
今井さん(平谷子ども発達クリニック)
自分のしたいことについて「分からない」と答える子ども,「OTにお任せします」という母親に対し,OTの役割と目的を,本人と保護者に具体的に伝え,共に考えアプローチした水泳を通し,子どもと母親が変わっていった。
母親は子どもに期待したいこととしての目標を持ち,子どもは「これをする」と作業選択の力を持つことができた.
伊地知さん(するーぴーす)
乗馬を取り入れ、「行きたい!」の想いを育むことができた…しかし日常生活に変化をおこすことができなかった。とゆめさん。
「乗馬」という作業にOTが酔ってしまうことなく、CLの生活に本当に貢献できたのか?を自分自身で問う伊地知さんの発表は,CLの健康を本当に願うOTとして勉強になりました。
「自分も乗馬が好き。でも乗馬はキッカケ。」と比嘉一絵さん。
人生のキッカケを作る作業療法の視点を考えさせられました。
人生のキッカケを作る作業療法の視点を考えさせられました。
鯉田さん(奈良県総合リハビリテーションセンター)
保育士とOTの協働関係をつくるために始めた”こら弁”
鯉田さんの「質問していいのだろうか?」に悩んだ自身の経験から生み出された取り組みだった。
鯉田さんは人の2倍は早く生きている(笑)ような素敵な人でした。
何でも「まずやってみよう」でここまで試行錯誤していた、と飲み会でも語っていました。
何でも「まずやってみよう」でここまで試行錯誤していた、と飲み会でも語っていました。
近藤さん(小山田記念温泉病院)
お母さんをクラエントとして考える。「親は犠牲にならないといけないのか?」
子どものもっとも重要な環境である母親の健康を支え,子ども自身の作業選択を広げる取り組み。
OTはきっかけ。クライエントの作業はクライエントだけが知っており、クライエントが変えていける。作業療法は素晴らしい!にOTが酔ってしまうことはどうなのかな。
と沢山の問いを投げかけてくれた発表でした。
子どもの分科会は近藤さんの発表を優秀賞として選びました。
作業療法の真の目的を考えてほしい!分科会みんなの想いを載せて…
作業療法の真の目的を考えてほしい!分科会みんなの想いを載せて…
まとめ
「共創」を目的とした分科会。飲み会中も,ランチタイムも削って(笑)みんなで話し合って出した答え。この答えは変わっていくだろう。
でも今私達の進むべき子どもの作業療法のWhyとして,
参加したみんなの心に刻んでおこう!
でも今私達の進むべき子どもの作業療法のWhyとして,
参加したみんなの心に刻んでおこう!
「私達のやりたい作業療法とは?」
今 生活を変え
感動で支援に関わる人をつなぎ
みんなが笑顔で参加できる作業療法
感動で支援に関わる人をつなぎ
みんなが笑顔で参加できる作業療法
その実現として,作業療法には重要な3つの役割がある!と確信しました.その各役割の重要性と可能性は,それぞれの発表者が示してくれました.
1)「やりたい」「やってほしい」のベースを支える介入
- 歩けるをささえる:成瀬PT
- 座れる,できる:村上潤
- 「できない」「やってみよう」:狩野
- 自分に気づき他者を意識することを支える:佐藤
- 楽しみの詰まった遊び(乗馬)でそのキッカケを作る:伊地知
- 環境(母)を健康にし子どもの作業選択を広げる:近藤
2)作業を発掘する介入
- やりたいを具体的に段階づける:山口
- クライエント主体:仲間
- みんなが作業に焦点を当てられるためのADOC-S:仲間・友利・宇佐美
- OT役割を伝えることで「やりたい」をひきだす:今井
3)作業遂行の実現を支える介入
- クライエントが取り扱える情報を提供する:仲間
- コラベンで作業療法士と先生の関係をつくる:鯉田
- やりたい事を実現するために道具を作る:村上潤
- 保育園の中の作業を出来る形にしていく:山口
- 保育士の”できる”を支える:山口・仲間
- 実現のための切り口を増やす:高畑
- 根拠のある介入を支える研究:高畑・山口
終わりたくない…
また会おう!
また創ろう!
これからも共に!
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