舞台裏でコーヒーを挽き
鰹節をひいて山の水で煮出した出汁で味噌汁を作り
漬物をつけてくる
そんな研修会です(笑)
さて、私はトップバッター…
初の大役緊張しました。
「みんなで決める子ども達の目標」が私のテーマ。
みんなの"届けたい"を目標にする
学校に巡回相談に行くと、専門家に対し先生方は悩んでいる問題を話されることが多く、その問題を解決してくれると期待されやすい。しかし、問題を解決するのであれば、この問題行動の原因を分析し対処することになります。
問題行動の要因…
- 器質的要因は今すぐ治すことができません(もちろん器質的要因を見ないのではありません。その回復や維持だけを目的にしないということです)
- 家庭環境の要因は親の生活が影響しているため学校の先生が関わりにくい。
- 生活歴の要因においては過去のことなので変えることが出来ません。
そんな「いつ解決するか見通しが持てない問題」と向きあう面談では、障がい児に産んでしまったことや、良い関わりができなかったことなど、子どもに関わる親や先生が苦しい思いをさせてしまう恐れがあります。
しかし、問題を感じるのはその子に先生・親が届けたいことがあるからです。この「願う生活」「届けたい教育・保育」「僕がしたいこと」みんなのやりたいを目標にし、実現することを目的に支援をしよう!
これが私達ADOCprojectのコンセプトです。
楽しい!ずっとやりたかった!明日からワクワクする!
そんな思いから支援を始めたい。
全ての人が当たり前にやりたい事を選択できる。
それが私達の願いです。
達成したいことのある支援
先生達は毎日忙しい中、子ども達の問題に追われてきた経緯があります。「さあ!目標を立てましょう」…といっても、目標を立案すれば達成しないといけない支援の不安があるようです。
目標を立案する、ということは「叶えたいことを思い描く」ことであり、仕事上のtaskではありません。
例えば「友達と学び合ってほしい」という目標に対し
⇒まずは互いに関わる機会を作ろう
⇒掃除という関わる機会の中で子供が変わった
⇒友達も変わった
⇒その様子を見てまた次は運動会でもやってみよう
⇒一歩先が見えてくる…
常に「達成したい先を見続ける支援」は、なかなか叶えられない不甲斐なさに悩むことはあっても、子供の未来に不安を抱き「これでいいのだろうか」とエンドレスな悩みを抱くことはありません。
そして「見てください!掃除してるんですよ」「聞いてください!子供たちで教えあったんですよ!」子供の微細な成長も、確かな変化として先生が捉えられる。支援への安心・感動 「支援にやりがいを感じ、変化を実感し喜べる」
目標を持つということは、そんな支援を実現することにつながるのです。
目標を持つということは、そんな支援を実現することにつながるのです。
今回の講演では、その他にも目標を持つことの効果や、目標の立て方、先生と保護者が協働関係を築く面接方法などお話させていただきました。
作業療法士の役割
私達は、面接を通して、先生と保護者の「問題解決」という視点から「届けたいことの実現」という視点へと変えていき、適切な情報収集と提供によって、本人・先生・親のエンパワメントを支持し、主体的に支援に参加できることを実現する。そのようなコンサルタントとしての役割を求められています。
私達は医療の専門家であり、子ども達の身体的・精神的・認知的機能を含むあらゆる要因を見る力も持っています。しかし、それらの情報収集と提供が、先生や親の「やりたい」を止めてしまうものであるならば、その情報は全くの無意味だと思うのです。
情報について、提供すべきタイミングと質、形(写真を活用するなど)を適切に選択・調整できれば、クライエントのやりがいに繋がり、主体的に動き出す原動力になり、自信につながり、生活を変えていくことを支えられるのです。
不安でたまらない支援ではなく、子供の将来を期待し、成長に感動できる支援を実現させていきましょう。インクルーシブ教育が始まり、子ども達の社会参加が保障されつつある今、作業療法士としての役割を強く感じる毎日です。
今回、このような機会を作ってくださった山口さんをはじめOTMAGの皆様
暖かい雰囲気で聞いてくださった会場の皆様
本当にありがとうございました。