2013年12月31日火曜日

2013年を振り返って



今日は朝から台所。久しぶりに義母さんと買い物に行き、料理を作り、お客さんをもてなし。長男嫁らしいことをしておりますが、明日お雑煮を作る!と意気込んでつくりはじめた 桜花人参が人手のようになってどうしようもありませんw

さて、2013年…正直ドキドキハラハラの耐えない1年でした。チャレンジが多かった分、喜びも多く感じさせていただいた1年でもあります。新しい場所で作業療法をさせていただく機会も多く、新しい場所で新しい人達からフィードバックをもらい、作業療法の魅力を改めて学ばせてもらった1年でもありました。そんな感謝の1年を振り返って、心に残るイベントのいくつかを綴ろうかと思います。


ADOC-Sがリリースされました!

 私の中で、1番のできごとはこれですね。待ちに待った…まるで我が子の誕生のように嬉しかった。沢山の人と、沢山の想いをカタチにするために、tomoriさんをはじめ、沢山の方と一緒にこの現場に立ち会えたことは、最高のイベントでした。
ADOC-Sを片手に保育園、小中学校、特別支援学校を回りました。みんなでADOC-Sを囲み、温かい活動の絵を指さしながら、将来に向けて今叶えたいことを話し合う様子を見ながら、『この支援の姿がみたかったんだ…』と号泣でした。…もちろん現場では泣きませんが。
「これいいわね!」「これなら他の生徒でもやってみようかしら」「家庭訪問で使ったら保護者と話しやすいわね」などご意見もいただき、ADOC-Sを活用することで、手軽に、楽しく、作業に焦点を当てて子供の支援を共有することができるようになるんだなと実感しました。来年は、より多くの方に伝えていけるよう頑張りたいなと思います!


新しい場所での作業療法

 特別支援学校の先生方とつながりを持つことができ、特別支援学校で作業療法を検討していく機会をいただきました。特別支援学校の先生方と関わる中で、その考え方や情報から多くのことを学ばせていただきました。来年は実際に目標を叶えていくことにも関わっていけたらと願っております。


小学校の先生と共同研究
 小学校で先生方と共同研究にも取り組ませていただきました。校長先生をはじめ多くの先生方のご協力のもと、ケースを通し、目標を共有し、評価を行い、情報を共有し、実現に向けた支援を立案し、実際に授業を他の小中学校の先生方100名近くの前で実演する…という研究及び研究発表に関わらせていただきました。
教育現場の悩みや文化、大切にしていること、システムなどを学ばせていただく中で、正直、作業療法を学校で行なっていく上で、知らないといけないことが沢山あると感じました。



 
 4月長男が教室に入れない、学童登校拒否、通学への恐怖…と大変戸惑った社会参加でしたが、今はすっかり、好きなことベストスリーにいつも学校と学童のことが入る程、前向きに成長しております。





最後に
 今年は大阪のOT学会でADOCのメンバーをはじめ多くの仲間にも出会いました。種まきOTさんとは、年末に沖縄観光に行く程の仲。この歳になって、気の合う人とは、こんなふうにひょっこり現れるんだなと、ちょっとルンルンの1年の締めくくりでした。
来年は
1月11日に作業療法臨床実践研究会でお話しさせていただきます。
2月16日沖縄県作業療法士学会では「沖縄県における作業療法の未来」をテーマにシンポジストとしての参加を予定しております。
3月に日本臨床作業療法学会がありますね。いまからとっても楽しみです!
 

学ばせていただく機会の多い1年でしたが、こうやって振り返ると、ほんとうに沢山の方のお陰で今の自分があると、つくづく感謝の1年でもあったと感じます。

本当にありがとうございました。


微力すぎて恩返しできないまま年を越してしまいそうですが、来年は、温かい皆様に少しでも恩返しできるよう頑張りたいなと思います!


それでは皆様、よいお年をお過ごしください。

2013年12月24日火曜日

Xmasに届いた幸せ



Xmasプレゼントが届きました。
半年前に面談したご家族からでした…


1年間同じ服ばかり着ている。言葉が出ない。目が合わない。人を避ける。初めてのところはパニックになる。

たくさんの問題に悩み、5歳の息子さんと検査を受けたそうです。「疑い」とついた診断名に、これからどうしたらいいのか…という相談でした。

どうして違う服を着て欲しいと感じているのか…
言葉を話して欲しいと感じるのはどんな時なのか…
目を合わせ人を避けないでいられることはどうして大切なのか…
始めてどんな所に行く時に落ち着いていて欲しいのか…

ゆっくり語り合いながら、お母さんとお父さんが息子さんに叶えたい生活を話し合いました。


行事に必要な服をきてほしい…
季節に合った服をきて、周りに心配かけないでほしい…
新しい学校に通えることを願っている…
そこで友達を作ってほしい…

ご両親は息子さんのこれから進学する幼稚園での生活のために、服のこと、言葉のことなどを願っていました。

そして、その生活を実現させるための環境づくりや関わり方を、みんなで話した頃には
初めに相談に来た時の不安な顔はなく、
息子さんの可愛いところや、できることなどの話にも花が咲き、みんな笑顔でした。



あれから半年。


ご家族から届いたプレゼントの中の写真には、息子さんが式服を着て笑顔の写真がありました。息子さんが一生懸命書いた名前や数字の手紙もありました。

お母さんは息子さんに着たい服を選んでもらうことにしたそうです。
文字でも想いを伝えられるようにと、字の練習をしたそうです。

叶えたい幼稚園の生活に向けて、進んでいる家族の想いが伝わってくるXmasプレゼントでした。



直接、男の子を治療したわけではありません。
ただ、問題に悩み、問題の原因が障害なのかもしれないと不安いっぱいの家族と共に、
問題の先にある叶えたい生活を具体的にし、目標として共有しただけです。



男の子と家族の歩みをみていると、それが大切なんだと思います。





問題を解決する支援から
やりがいを実現する支援へ…


それを目指して

2013年12月8日日曜日

「もっと知りたい」を育むために

もう3周も建物の縁側をグルグル回っています。
何周したらゴールなのか
息子にはないようです。



ハイハイの時、彼は「もっとあっちに行きたい!」とは訴えませんでした。
ハイハイの時、彼はとても楽しそうでした。
今に満足し
これ以上を望まず
ハイハイで行けるところに行ければ、それでいいようでした。

歩き出したのは2週間前
この2週間で彼は変わりました。
嫌いだった靴も、外に行くための手段として受け入れました。
それどころか、靴さえ渡せば「外に行きたい」と言えなくても、その想いに気づいてくれる!その手段として靴を持ってアピールするようになりました。

嫌いなことも受け入れて
苦手なことも練習して
特別なご褒美や目標がなくても
ただ「歩きたい」その想いに毎日どんどん歩いています。





昨日の研修会で「盲文化」の話がありました。
”見えない”世界の中で情報を得るために、聴覚や触覚、嗅覚などあらゆる感覚を使って「知る」ということのために努力が必要な世界。いまはタブレットやアプリなど便利な道具が生まれたけれど、大切なことは「学びたい」「知りたい」という子供の想いだそうです。

その「知りたい」を育むために重要なことは
「知れるんだ」という成功体験なんだそうです。知ることがうまくできない状況の中だけで育っていくと、「今でいい」と感じ、情報をうまく得られないまま、理解できていない現状に納得してしまい「もっと知りたい」が生まれにくいこともあるそうです。


私は通常学校の巡回で、この環境の中で本人がしたいことを持ち、できるのであればいいのではないかと感じていました。「これでいい」を越えて「もっと」を育むために成功体験が重要であることを改めて感じました。



Nelson Mandela「何事も成功するまでは不可能に思えるものである」
**講演会の中で金森先生が使われていた資料を少し拝借**


息子は「歩ける」成功体験が「歩きたい」を生み
どこまで?どうして?何のために?
よりもただ「歩きたい」のために前に進んでいる。

この先の人生に目標を持っていくけれど、時には成功体験から生まれた欲求に満たされて育つ瞬間も大切なんだな…と息子の背中から学んだ週末でした。




自分の知らないことを学べる毎日に感謝です、最後まで読んでいただきありがとうございました。











2013年10月21日月曜日

岐阜で行なわれている素敵な子供の支援体制を学んできました。

14日から21日まで、岐阜・東京を満喫してきました.
ディズニーランド最高だったなーーーー.
この年になって「ミッキーーーーー!!!」と叫んでしまいました.帰りたくなかった…,



さて、今回の旅の一番の目的は岐阜のOT、Y先生の子供の支援を見に行くことでした.
15日の午前:保育園の巡回相談
15日の午後:ことばの教室(発達支援センター)
Y先生は病院では子供の外来や入院をみて、さらに地域の療育センターや児童デイ、保育園や幼稚園、小学校や保健センター等で作業療法を展開している、私にとってはまさに目指す先にあるような体制を、医師や心理士と連携して築いてこられたそうです.

ここでの取り組みの一部に参加させていただき、感動したことは大きく3点ありました.
1)機関同士の連携
2)保育士や支援員のスキルと姿勢
3)作業療法士の情報の扱い方

機関同士の連携
保育園の取り組みの中で、小集団での特別プログラムをおこなっていました(これをやろうという保育園の意識にも感動でしたが…その他に感動しすぎてここはもう当たり前の世界に感じてしまう程でした)
その保育園の取り組みに、地域の保健士さんや、福祉課の方が参加されていました.沖縄では保育園に他機関の人が取り組みに参加しにくることを見たことがなく、面談ですら1年に1度行なわれるか否かの世界でしたので、ほんとうに連携の熱さを感じました.

保育士や支援員のスキルと姿勢
集団プログラムを保育士さんが計画して進めていくのですが、事前にプログラムの内容と目的が明確に示された計画書の作成もされていました.実際に行なう保育士さんの姿勢も、そこへの熱意が感じられ、そのパワーにも圧巻でした.

作業療法士の情報の扱い方
 午後のことばの教室では、Y先生も参加してのプログラムがありました.保護者との面接の後、実際に遊びを通した介入を支援員や保育士の先生方と一緒に行ない、最後に保護者と先生達にY先生がフィードバックされる流れでした.
 最初の面接の時にこれから行なうプログラムを含め支援の目的を共有し、遊びの介入では、その目的を実現させるために柔軟に遊びの環境や道具、声かけや設定を変えていく.そこでのお子さんの様子からさらに遊びを展開していかれていました.その遊びの展開は、子供の持っている力を十分引き出し、友達との協力や、順番などのルール、活動へのチャレンジといった「参加」につないでいくもので、見ているこちらも、お子さんが”できていく様子”に感動で泣きそうでした.
 そしてフィードバック.保護者や先生達に、「どうしてできないのかどうしたらできるのか」を伝え、その情報から聞き手が「これからどうしていきたいのか」を創造していける、エンパワメントにつながるものでした.子供がその作業を「どうしてできないのか」を伝える時に、専門的な知識からわかることをしっかり伝えることも重要だな、と感じながら見学させていただきました.医学的な情報を他職種でもすっと入っていくように噛み砕いて伝えていらっしゃる、Y先生の素敵なところも学ばせていただきました.


私は直接介入をしてこなかったのですが、そういった面を吸収して、沖縄にもこんな素敵な地域の連携を輸入したいです.
機関同士の体制も、保育士の姿勢も、日頃から勉強会などY先生や一緒に働いているPT,STのスタッフの皆さんが地域に働きかけてきた、ベースがあるからのようで、それも含めた体制づくりを学べた岐阜旅行でした.


ちなみに
食事にも感動!!



2013年10月2日水曜日

作業遂行評価を教えています



作業遂行評価を学生さんに教えています.
学生に「作業」について教えている時と、「作業遂行」について教えている時、我を忘れます(笑)



作業遂行は「その人が、その環境で、その作業をするとき」の遂行の質をみています.
当たり前.作業遂行評価なんだから・・・と流しそうですが、実はとても奥深い.


さて、授業では
1.人がその環境で“ある作業”をするときの遂行をありのまま見ていきます.
2.そして書き出したことの中から作業遂行上「問題となること」と「利点となること」を挙げます.
3.作業遂行評価の考察:クライエントの作業遂行上の重要な問題点と利点を考察します.
4.問題となることの要因を考えます.仮説です.
5.仮説で立てた要因を立証できる評価を考えます.

この工程の中の「3」が授業での一番の見せ場だと私は思っています.

この写真は、Kさんが人参の皮むきをしているところです.

この場面について学生さんが言いました
「麻痺側で握っている人参が動いて,皮がむき難そうです」
「皮むきに少し時間がかかっています」
慣れてくれば、学生さんも行為を抽出する目が育っていき、こういうことにすぐ反応していくことができます.作業遂行上の問題点と利点を抽出することは練習で上達していくのですね.


さて、3.作業遂行評価の考察 の部分
『重要な問題点・・・麻痺側で支えた人参が滑ってしまうため皮むきに少し時間がかかる』
学生さんがノートに書きながら言いました「先生、これでいいんですよね?」
そして必ず聞き返します
「あなたが,この方にとって料理を作業と感じたのはなぜ?」
学生さんは答えました
「この方は魚をさばくことも話していました.振る舞うためなんだと.家族や友人にです.今は息子さんがさばいてくれるけど.あと、麻痺側でもこんなふうに人参の皮むきに使えるんだよ!って笑顔で話していました.麻痺を負った手でも自分の大切な料理に参加できることを健康だと意識しているようでした・・・」
(↑学生さんがこうスラスラ話したわけではありませんが(笑)まあ、こちらでインタビューしながら引き出すと、学生さんの多くは、クライエントから肌でそのストーリーを共感しています.意識に登るまでは若干のお手伝いが必要ですが.)

そしてもう一度聞きます
「この方にとって、皮むきに時間がかかることは重要な問題点だった?」

この学生は
「Kさんの生活環境(時間があることなど)も考えると、料理に時間がかかることは重要な問題ではない。むしろ時間をかけてでもやれるという利点だ」と話していました.
「最も重要な問題点は”食材や道具を運ぶ時に人の手が必要なこと”.これでは奥さんや友人(客)に台所まで来てもらうことになってしまうから、振る舞うことにならない」と考察していました.




「作業遂行評価の考察」この過程で、学生さんが少し、作業遂行を考えることにぐっと踏む込むことができるかな・・・と教員の願望も含め感じています.



支えた人参が滑って皮がスムーズに剥けないことはAMPSで言えば、gripsやcoordinatesにあたります.作業遂行上の質を低下させていることは事実です.
しかし、それがそのクライエントの作業遂行上の「重要な問題点」か否かは、作業の意味を深く理解していないと紐解けないと感じています. 

そして、ここの理解を通過すると「全体像」「考察」といった情報を統合する力にもつながるのではないかなー.と授業を進めています.



明日は@ryukyuOTさんを迎えて
ここから巣立った学生達がケーススタディを行ないます.
私自身が楽しみです!

2013年7月13日土曜日

10本の目標



息子とのちょっとしたできごとです…
新しいこと、習慣ではないこと、そんな心の準備ができないことに参加するとテンションが振り切れる息子は、先週学校で授業をハチャメチャにしてしまいました.
彼と話をすると、沢山の失敗をしたんだと話してくれました.うまくいかないことを彼自身がわかっていたようでした.
10本の指を出し、どれぐらいできたと感じ、どれぐらいできなかったと感じているか聴くと、3本の指を立て「できたのはこれだけ.あとはできなかった」と言った.
彼にどれだけできることを望んでいるかと聴くと、10本の指を立てた.


今朝、10本の指全部できたと思えるために何ができるか聴くと、彼は一本一本の指に、具体的な目標を立てた.
彼は9本目を言い終えると、「今日はここまで.9なら頑張れそうだ」と笑った.
そして「9頑張れたら、来週は10を目指す」と来週の目標も語った.



学校についた息子は担任の先生の所に走って行き「Good morning! Ms.Turner!」と恥ずかしそうに挨拶をしていた.
これは彼の一本目の目標だった.

今日は彼とゆっくり話す予定.大切なことは達成したかどうかよりも、実現に向けて頑張ったこと.

2013年5月3日金曜日

新しい環境と息子の作業

新しい環境には、不安と希望が入り交じる.その中で人は成長していけるのでしょうね.


長男は今新しい環境に挑んでいるようです.一つは学童、そして幼稚園、さらに登校.


学童:
「お母さん、学童行きたくない」
4月から学童が始まり、2日目にして彼がつぶやいていました.
「子どもなんてこんなものですよ.長男だから年上の子との関わりに慣れていないだけですよ」と周囲に背中を押され彼は通い続けましたが、苦しそうでした.
実際に学童での様子を見にいくと、彼は部屋に入れず、玄関でただ一人放心状態で外を眺めていました.私が近づいてもすぐに気づけないほど目が見開き、表情が無く、肩で息をして苦しそうでした.彼はただここで何時間もこうして過ごしているとの事で、これは慣れるとかいう前に潰れてしまうと感じ、先生と面談の時間をいただきました.
学童の先生が大切にしている事は「安全に楽しく、様々な年齢の子ども達が関わりを持てる事」と話してくださり、息子がその届けたい生活に参加できていない事を共有しました.
彼の素敵なところは、自信のある活動があれば、不安な環境や人達とも参加していける力があること.そして彼はサッカーと野球に自信があることなどを話し、「好きな活動を通して年上の子とも交流ができる」ことを目標として共有しました.
2日後、迎えに行った私に「お母さんもう来たの?まだ帰りたくないよ!」と笑ってみんなと野球をする息子がいました.今、彼は学童が楽しいと通っています.


幼稚園:
彼が教室に入れず、朝の時間廊下で過ごしていたことを5月に入り担任の先生から聞きました.
ちなみにこの担任の先生は以前、巡回作業療法で関わった先生でした.
「ダイト君は自分が理解していることと違うことが起こると不安になるようです.でも、彼のすごいところは、先生と2人だけで話せる機会があれば、納得できずにいることを相談できるところだと気づきました.今は彼の表情が曇っている時に、話を聞く時間を作っています.5月に入ってすぐ、自分の足で教室に入って来てくれましたよ!」
と担任の先生が話してくださいました.さすがです!よかった~


登校:
「小学校の中を通るのが怖い…」
彼が相談してくれたのは1週間前.友達と登校を始め、安全な通学路のために小学校の校庭を通過することを親同士で決めていました.
彼は小学校の前で友達と別れ、1人で登校していると話してくれました.
「その方法であなたのやりたいことは果たせているの?」
と聞くと
「お母さん、これは寂しい方法だと僕は感じる」
と話してくれました.彼の話では、知らない年上の子が大勢いる環境の中に入って行くことが怖いとのことでした.そして本当は友達と最後まで一緒に登校したいとのことでした.通学路をみんなで変えることや、慣れるまで親が付き添うことなど他にも方法があること、そのことのメリットとデメリットを話し合い、彼は友達と我慢して校庭を通ることを決めたようでした.
彼のチャレンジに対し、不安や恐怖が上回らないよう、小学校に楽しみとなることを探すことも話しました.
まずは小学校で挨拶運動をしている校長先生と「おはようございます」を交わすことがその楽しみの一つになりそうです.


私は彼にとって母親だから作業療法を届けることはなかなかできませんが、息子がこれから先、集団生活に楽しく参加できることを願っています.
そのために、学童、幼稚園、登校の作業が、今できるようになることを大切にしています.





息子のところに巡回してくださる人がいたら、ぜひADOCsで目標を共有したいものです(笑)


最後まで読んでくださりありがとうございました.

2013年3月26日火曜日

「やりがい」と「やりたい」

「子どものやりがいに目を向けましょう」と支援について伝えた時「子どもは遊びが好きです.ではやりたいことだからどんどんやらせていいのですか?勉強をしなくてはいけなくても遊びたいならそれをさせるべきですか?」と聞かれたことがあります.


「やりがい」は「やりたい」から生まれます.でも「やりたい」だけでは「やりがい」にはなりません.


以前学生に,様々な年齢の方の「生活の中の作業の内容と意味」について、調査してきてもらったことがあります.
その中で,仕事をしていない30代男性は「ゲーム、ネットサーフィン、マンガ、バイク…」など遊びの作業が生活の半分以上を占めていました.しかしその作業の意味については大半が「無意味」とされていました.
一方、同じ30代男性で仕事をしている方の生活には「遊び・趣味」の作業の時間が1時間程度しかない状態でしたが,「無意味」とされた作業は遊び以外の作業も含め、全くありませんでした.

「やりたい」ことに対し,人は楽しみを感じることが出来ますが,それを「やりがい」として生活の中で実現させていくためには、社会的な期待が必要です.会社員として仕事をしている、親として子育てができている、母親として家事をしている、子どもとして勉強して親に喜ばれる…
周囲(社会)に期待されることであるからこそ、それをやることに意味を感じ、役割として達成感を感じられるのでしょう.

「やりがい」=「やりたい」+「社会的期待」


そして、ニートの男性が本来「やいりたい」ゲームやネットに「無意味」と感じたように、「やりがい」のあることがないと、「やりたい」ことも見失ってしまうのかもしれません.




子育ては上手ではない私ですが、息子の「やりたい」ことを、「やりがい」にするために、社会的期待を母親としてプラスすることだけなら、頑張れるかな(笑)

2013年2月19日火曜日

機関誌に掲載されました

沖縄は今日着きました.
さすが島国,一日遅れ.

今回の論文に込めた想いを少しまとめました.


 発達障がいがあるから特別支援学級…
 発達障がいがあるから支援員を側につける…
 発達障がいを早期発見…
 保護者が発達障がいを認めたくないようで支援が進みません…
 学校が発達障がいへの理解が浅いようで…

学校に巡回相談にいくと、みんなが発達障がいに目を向け、発達障がいへの対応に追われ
本当に大切なことに目を向けられないまま、互いに苦しい現状に対し「しかたがない」と歯を食いしばって支援をし、義務教育卒業の時に「これからどう生きていけばいいんだろう??」に悩む…そんな状況に出会います.
先生は沢山の時間を使っても今に不安を感じ、親は先の見えない今に不安を感じ、子どもは自分は配慮されないといけない存在だから仕方ないと希望を持つことを忘れていく.この現状に誰も幸せではありません.


作業療法は、将来への希望をみんなで創造し、その将来に向けて今したい作業、今届けたい作業、そんな大切な作業を実現させよう!という視点で支援が始まります.作業で子と保護者と先生をつなぎ、社会をつなぎ、作業の実現に向けて職種の専門家のスキルも活用してもらうことで恊働関係を築く.
ここには「障がい」の有無は関係ありません.関係があることは子どもと、その子に関わるすべての人の「したいこと」作業です .

将来に向けて大切な今を"作業"というカタチにしていけるのは、作業療法士が「人ー環境ー作業」をみることのできる専門家だからだです.今の社会を「しかたない」から「こう生きたい」に変えていけるのは作業療法士だと感じます.

私の作業療法は十分ではありませんが、少しでも学校に作業療法を届けるヒントになればと書きました.



もし、この論文を読んで「いいな」と少しでも感じてくださる方がいたら,その作業療法をいつでも地域に届けられることを願い,現在小児版ADOCを友利さんと作成中です.今年度中には実践でのこともお伝えできるよう頑張りますので,よろしくお願いいたします.

2013年1月18日金曜日

支援者向け研修会 in うるま市

昨日の研修会は自分の声が自分で聞こえないほど緊張していました。4年前の研修会もこんな風に緊張していたなと思い出します。





4年前の夏
巡回相談をはじめて半年が経った頃、地域の幼稚園、小中学校の先生方の研修会で講師をさせていただくことがありました。その機会を下さった校長先生とそこで伝えることは決めていました。
「発達障害に対しどんな対応をすべきかではなく、なぜ支援をするのかを考えよう」
「子どもがしていることの原因よりも想いを知ろう」
研修会が終わりその後の懇親会まで人が耐えないほど反響は大きく「応援するよ」と言ってくれた方も沢山いて嬉しかった。
…でも実は研修会のすぐ後に、数名の先生に囲まれて「いま困っているのに、対応の仕方を教えてくれないと意味がないじゃないか。忙しいなか集まったのに。」と言われていた。このことは駆け出しの自分には衝撃的で心にしまうことにしました。


あれから4年

研修会が終わって囲んでくれたのは、「これから楽しみだね」と一緒に言ってくれる仲間でした。

沢山のアンケートには「問題行動の原因や障がいよりも、本当は何がしたいんだろうと子どもの作業を考える視点を持ちたい」
「保護者と叶えたい将来といま大切なことを共有して協働関係をつくりたい」
といったコメントを多数頂きました。他にも
「このような研修には珍しく感性にうったえるもので良かった」
「授業を自習にしてでもすべての教員に聞いてもらう内容だと思う」
など頂き、伝わったんだ…と感動でした。

4年前と伝えたいことは変わっていませんが、聞いている方の心を動かせたのは、4年間で経験してきた、子ども達や先生、保護者が作業の実現を通して変わっていった事実だと思います。昨日のことがこの地域にどのように影響していくかはこれからですが、アンケートのコメントを見る中では、種はまけたかなと思います。