2013年10月2日水曜日

作業遂行評価を教えています



作業遂行評価を学生さんに教えています.
学生に「作業」について教えている時と、「作業遂行」について教えている時、我を忘れます(笑)



作業遂行は「その人が、その環境で、その作業をするとき」の遂行の質をみています.
当たり前.作業遂行評価なんだから・・・と流しそうですが、実はとても奥深い.


さて、授業では
1.人がその環境で“ある作業”をするときの遂行をありのまま見ていきます.
2.そして書き出したことの中から作業遂行上「問題となること」と「利点となること」を挙げます.
3.作業遂行評価の考察:クライエントの作業遂行上の重要な問題点と利点を考察します.
4.問題となることの要因を考えます.仮説です.
5.仮説で立てた要因を立証できる評価を考えます.

この工程の中の「3」が授業での一番の見せ場だと私は思っています.

この写真は、Kさんが人参の皮むきをしているところです.

この場面について学生さんが言いました
「麻痺側で握っている人参が動いて,皮がむき難そうです」
「皮むきに少し時間がかかっています」
慣れてくれば、学生さんも行為を抽出する目が育っていき、こういうことにすぐ反応していくことができます.作業遂行上の問題点と利点を抽出することは練習で上達していくのですね.


さて、3.作業遂行評価の考察 の部分
『重要な問題点・・・麻痺側で支えた人参が滑ってしまうため皮むきに少し時間がかかる』
学生さんがノートに書きながら言いました「先生、これでいいんですよね?」
そして必ず聞き返します
「あなたが,この方にとって料理を作業と感じたのはなぜ?」
学生さんは答えました
「この方は魚をさばくことも話していました.振る舞うためなんだと.家族や友人にです.今は息子さんがさばいてくれるけど.あと、麻痺側でもこんなふうに人参の皮むきに使えるんだよ!って笑顔で話していました.麻痺を負った手でも自分の大切な料理に参加できることを健康だと意識しているようでした・・・」
(↑学生さんがこうスラスラ話したわけではありませんが(笑)まあ、こちらでインタビューしながら引き出すと、学生さんの多くは、クライエントから肌でそのストーリーを共感しています.意識に登るまでは若干のお手伝いが必要ですが.)

そしてもう一度聞きます
「この方にとって、皮むきに時間がかかることは重要な問題点だった?」

この学生は
「Kさんの生活環境(時間があることなど)も考えると、料理に時間がかかることは重要な問題ではない。むしろ時間をかけてでもやれるという利点だ」と話していました.
「最も重要な問題点は”食材や道具を運ぶ時に人の手が必要なこと”.これでは奥さんや友人(客)に台所まで来てもらうことになってしまうから、振る舞うことにならない」と考察していました.




「作業遂行評価の考察」この過程で、学生さんが少し、作業遂行を考えることにぐっと踏む込むことができるかな・・・と教員の願望も含め感じています.



支えた人参が滑って皮がスムーズに剥けないことはAMPSで言えば、gripsやcoordinatesにあたります.作業遂行上の質を低下させていることは事実です.
しかし、それがそのクライエントの作業遂行上の「重要な問題点」か否かは、作業の意味を深く理解していないと紐解けないと感じています. 

そして、ここの理解を通過すると「全体像」「考察」といった情報を統合する力にもつながるのではないかなー.と授業を進めています.



明日は@ryukyuOTさんを迎えて
ここから巣立った学生達がケーススタディを行ないます.
私自身が楽しみです!

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