2012年5月30日水曜日

生活に焦点を当てて子育てを共有する

今日は嬉しいことがあったので
長いつぶやきの変わりにブログにします。


6月15日に「保育サポーター養成講座」の一講座として
”気になることの関わりについて”という項目で
講師依頼を受けています。
保育サポーター養成講座:http://rinkishikawa.ti-da.net/e4017075.html
養成講座となっていますが地域の住民や学校で支援している方など
様々な方も参加できるよう設定された会です。

今日はその講座内容を打ち合わせるために
うるま市ファミサポ(りんく・いしかわ)に行ってきました。

はじめの依頼の内容は「気になる子の対応の仕方」「発達障害の理解」的なことでしたが、
項目だけでなく、その依頼をした先方の想いを必ず深く聴くようにしています。
↑この時間を設けることで、満足してもらえるものを提供できるという利点だけでなく、
作業(生活)に目を向け関わることの可能性を地域に伝えるチャンスが眠っているかもしれないからです。

りんく・いしかわスタッフの方に、依頼内容に対する想いをお伺いすると

  1. サポーターと利用者が同じ地域で子育てする中で、ファミサポのサービス利用をきっかけに、共に地域でその子の成長を共有できる輪を作りたい。(ファミサポとは:http://www.city.uruma.lg.jp/DAT/LIB/WEB/1/fami-sapo.pdf)
  2. サポーターが気になる子と関わったときに、「お母さんのしつけが悪いから」という誤解をしないようにしたい。
  3. 様々な子と関わる中で、その子にとっていい関わりが持てるようにしたい。
  4. 預かるサポーターが不安や自信をなくすようなことがなく、ファミサポの活動を続けられるようにしたい。

という熱い想いがあることがわかりました。

この想いを実現させるために

  • サポーターと利用する保護者が、子育てに対し恊働できること。
  • サポーターも保護者も子どもとの関わりに対し自信を持って関われる(エンパワメント)

が重要であることをスタッフの方と共有し
そのために生活に焦点を当てて子どもを理解することを伝えました。

『生活に焦点を当てる』とは

例えば
「自閉症だから自分の家じゃない場所で過ごすことにパニックを起こすことがあります」
という情報よりも
「自宅や家族などその子の慣れた環境では大丈夫だけど、初めての場所や人など、慣れていない環境に対し子どもはよく不安を感じます。時におさえきれないほど過度に不安を感じる子もいますし、その不安を言葉にできず、泣いたり、暴れたり、叫んだり、逃げたりすることで伝えようとする子もいます。」
というように実際によくある生活での問題に対し、子どもの視点で『どうして困っているのか』を伝える。

生活に焦点を当てた情報の利点は、

  • その問題が実際起ったときに、そのサポーターができる具体的な対応をとることができます。
  • その問題を保護者と共有するときに、「自閉症だから…」ではなく「初めての場所に不安だったんですね。でもこんな対応したら過ごすことができましたよ」と伝えることで、保護者も受け取りやすく、かつ自分の生活のヒントにもなります。サポーターと保護者の恊働につながる可能性がありますね。
と、生活(作業)に焦点を当てることの利点を、ファミサポの想いの実現とリンクして伝えていきました。

伝わったようでした☆
今回の講演の内容は、発達障害の理解ではなく、
サポーターと保護者がともに子育てを見つめていけるための子ども理解
ということになりました。

楽しみです!!





2012年5月15日火曜日

作業と環境の良循環と子どもの成長






子どもは環境の呼びかけに応じて
自分のしたいこと、する必要があると感じること(作業)を選びます。

子どもは自分の選択した作業をしていけることを通し
心と身体と考える力を成長させ、価値観や世界を広げていきます。

子どもの成長と広がる世界によって
子どもの周りの環境は変わっていきます。

環境が変わり環境からの呼びかけが変わることで
子どもは新たなしたいことを選んでいきます。










子どもの成長はこの良循環の中で
止まることなく続いて行きます。

ここにはその子の可能性が詰まっています。
子ども自身が自分の人生を常に主体的に生きていけることが実現できます。




作業療法はその良循環をつくることを目的としています。





子どもにとって大切な環境である
親が
子どもの将来に向けて今を期待できること
先生が
届けたい教育をその子に届けていいんだと期待できること
友達が
その子を仲間として期待し関われること




その子の周囲の大切な期待に
その子が参加できる環境をつくれることが
作業療法士の重要な役割だと感じています。






http://chibikkoot.blogspot.jp/2012/01/blog-post_25.html
期待されること、期待すること)

2012年5月14日月曜日

その子の生活の中で届けることを大切に



「うちの子はこのままいったら特別支援学級を勧められるだろう。8月には検査受けるように言われると思うから。私立も考えているんだ…夫はこの地域の学校で育つことを願っていたんだけどね。」


先日、あるお母さんが話していました。


もちろん、検査を受けることを親が拒否することもできます。
もちろん、進学先は保護者が最終的な決定権を持っています。

それでも、そういうことじゃないんだと感じています。
学校と先生という環境の中で育って行く子どもにとって
学校に預ける親にとって
地域の人の輪の中にいる家族にとって
そこで育っていくことを
認めてもらえる状況はとても重要なんだと思います。
例え、決定権があっても
決めたことを周囲が認めてくれることの方が重要なのです。



学校に巡回相談をしていて
実際に決められた流れの中で「支援学校」「支援学級」
など進学先が決まっていた子ども達と関わりました。
その子の将来を親と学校で考え、
そのために今大切なことは何か(作業)に焦点を当て
その実現のためにどこでこれから育って行くことが
「その子にとって大切なのか」
という視点から進学先をみんなでもう一度見つめ直すことが出来ました。
誰かが我慢することなく
誰かにのみ責任を迫られることなく
決めたことに、誰もが満足でした。



どの子どもにも、親にも
それができる地域になって欲しい
検査や進学先に不安になることなく
地域で育つことを選べる地域になって欲しい

そう願っています。



4年間の学校巡回相談の経験から
学校だけではその地域を作ることは難しい
と感じています。

親のその不安は
幼稚園の頃には出来上がっていることを知ったからです。
そんな不安を一度も感じることなく
子育てを楽しめるために
どうしたらいいんだろうと考えた時に
もっと前から、
その子の大切なこと(作業)に焦点を当てる視点を
地域に届けることが重要だと考えるようになりました。



特に、“障がい”と出会う時から。



今の社会では、
1歳半と3歳時健診の時に
発達の遅れを指摘され
検査を受けることを進められます。
親がそれを拒否すると
地域から連絡があり「健康診断後事後教室」に通うように進められます。

現在の健康診断後事後教室では
遊びを中心とした関わりを通して
発達の遅れを親に気付いてもらう関わりを行っているそうです。

実際に相談にくる親の多くは
その流れの中で我が子の障がいと出会ったと話していました。
そしてその出会いは親の不安につながっていることを知りました。



障がい
発達の遅れ
子どもの特性

全く知らなくていいとは思いません。
知ることでのメリットも
もちろんわかっています。

でも、大切なことは
我が子の素敵な将来を創造し
そのために今大切な生活(作業)を考えられることから始められることです。

その生活を実現するために
その子の力だけでは苦しいことを共有し
みんなで実現に向け環境を整えていこう!
関わりを大切にしていこう!
という”その子の生活の中で”
子どもの特性・能力・機能について届けることが
地域で育てて行くことの安心につながり、
親が主体的に子育てに参加することを支え、
地域で関わる社会の環境・人と協働していくことの実現につながると感じています。



今、それを実現できる地域づくりのために
私の夢でもあった
健康診断後事後教室に参加できる機会を得ることができました。
保健福祉課の方は
まず行政としては子どもの特性を知り
親にも自覚してもらうことから…
親が発達検査や医療機関とつながることを目標に…
という視点です。でも、
障がいありきの情報管理の長い歴史がある中で
すぐには変えられないかもしれませんが
少しずつ伝えていけたらと願っています。

2012年5月8日火曜日

人生の中での遊びとの出会い

随分前になりますが、 あるお母さんから
「うちの子に合う玩具が購入できる方法を教えて欲しい」 と相談されたことがありました。 
お母さんは発達に問題がある息子さんのために
感覚統合を学び、息子さんの感覚に合わせた玩具が欲しいとのことでした。 

『遊び』は子ども達が 
したい!と感じることのできる活動であり、
 その遊びを通して沢山の機能や社会性の発達に役立つ 
魅力的な活動です。

 引き出された機能や社会性によって、
 生活に!勉強に!学校参加に!就労に!つなげていきたい。 
支援している人の想いがあるのだと思います。



 地域の巡回相談や、我が子の成長を見守る中で 
『遊び』は自然と登場します。

 ある子は 
幼稚園で虫捕りが流行ったから。
 虫が取れることが男の子の中のヒーローになれるから。 
虫取りという遊びに出会い夢中になりました。

 ある子は 
足跡探しが保育園の絵本で出てきたから。 
友達との足跡探しが遊びになり 
「これは巨人の足跡だ!」と最初に探した子が
その日のリーダーになりました。 
リーダーになりたくてしばらく下を向いて歩いてばかりいたのは 
うちの息子でした。 

ある子は 
先生が竹馬を通して頑張ることを体験させたいと期待したから。
 竹馬という遊びがその子の前に現れました。 
竹馬に乗って竹馬チャンピオンになりたい! 
足の皮がむけても、その子は頑張って竹馬を練習しました。 



子ども達が人生の中で出会う遊びは 
教科書通りではなく 
その子の地域の文化や 
その子の社会の人やルールの中で 
自然と生まれるのだと思います。 

その遊びはその子が参加するには 
もしかしたら難しすぎるかもしれない 
その遊びはその子が参加しても 
簡単すぎて意図する機能は引き出されないかもしれない 

でも、その遊びには 
その子自身と親や先生たちの 
大切な想いが沢山含まれています。 
遊びを通して 
「ヒーローになりたい」 「リーダーになりたい」 「頑張る体験をさせたい」
 素敵な想いが含まれています。




 先日一人のお母さんから相談がありました。 
「うちの子は友達が近づくと叩いてしまう」 
お母さんはOTに 叩くというコミュニケーションが 
唯一やっと出来始めたコミュニケーションだから 
危険がない限り見守ってあげてください 
と指導を受けたとのことでした。 


女の子は今年1年生になったそうです。
 通級を利用しながら 通常学級のクラスメイトとの交流を大切にしよう。
 学校の先生たちと一緒に決めることができ 
お母さんはとても嬉しかったそうです。 

今、始まったばかりの学校で 
友達が女の子に沢山挨拶をしてくれるそうです。 
沢山遊びに誘ってくれるそうです。 
その現状に叩いてしか応えられない 
女の子も、お母さんも このままでいいと感じることができず 
不安なんだと話していました。 

叩くことを唯一のコミュニケーションとして見守ることで 
否定されすぎて表現できなくなってしまうリスクを 
回避できるかもしれません。 
それは一つ大切なことなのかもしれません。 

でも、友達との交流を大切にしたいという 
先生とお母さんの想いは 
女の子の人生の中で
今、流れの一つとして自然に生まれたことだと思うのです。
 今大切にしたいことだと思うのです。 


遊びも 
友達との交流も 
その人の人生の中でたくさんの環境の影響を受け
 生まれそして出会い 
実現していくことを 私は大切にしたい。 

そこに 
その子とその子を支える人たちの 
沢山の想いや意味があるから。