2013年10月21日月曜日

岐阜で行なわれている素敵な子供の支援体制を学んできました。

14日から21日まで、岐阜・東京を満喫してきました.
ディズニーランド最高だったなーーーー.
この年になって「ミッキーーーーー!!!」と叫んでしまいました.帰りたくなかった…,



さて、今回の旅の一番の目的は岐阜のOT、Y先生の子供の支援を見に行くことでした.
15日の午前:保育園の巡回相談
15日の午後:ことばの教室(発達支援センター)
Y先生は病院では子供の外来や入院をみて、さらに地域の療育センターや児童デイ、保育園や幼稚園、小学校や保健センター等で作業療法を展開している、私にとってはまさに目指す先にあるような体制を、医師や心理士と連携して築いてこられたそうです.

ここでの取り組みの一部に参加させていただき、感動したことは大きく3点ありました.
1)機関同士の連携
2)保育士や支援員のスキルと姿勢
3)作業療法士の情報の扱い方

機関同士の連携
保育園の取り組みの中で、小集団での特別プログラムをおこなっていました(これをやろうという保育園の意識にも感動でしたが…その他に感動しすぎてここはもう当たり前の世界に感じてしまう程でした)
その保育園の取り組みに、地域の保健士さんや、福祉課の方が参加されていました.沖縄では保育園に他機関の人が取り組みに参加しにくることを見たことがなく、面談ですら1年に1度行なわれるか否かの世界でしたので、ほんとうに連携の熱さを感じました.

保育士や支援員のスキルと姿勢
集団プログラムを保育士さんが計画して進めていくのですが、事前にプログラムの内容と目的が明確に示された計画書の作成もされていました.実際に行なう保育士さんの姿勢も、そこへの熱意が感じられ、そのパワーにも圧巻でした.

作業療法士の情報の扱い方
 午後のことばの教室では、Y先生も参加してのプログラムがありました.保護者との面接の後、実際に遊びを通した介入を支援員や保育士の先生方と一緒に行ない、最後に保護者と先生達にY先生がフィードバックされる流れでした.
 最初の面接の時にこれから行なうプログラムを含め支援の目的を共有し、遊びの介入では、その目的を実現させるために柔軟に遊びの環境や道具、声かけや設定を変えていく.そこでのお子さんの様子からさらに遊びを展開していかれていました.その遊びの展開は、子供の持っている力を十分引き出し、友達との協力や、順番などのルール、活動へのチャレンジといった「参加」につないでいくもので、見ているこちらも、お子さんが”できていく様子”に感動で泣きそうでした.
 そしてフィードバック.保護者や先生達に、「どうしてできないのかどうしたらできるのか」を伝え、その情報から聞き手が「これからどうしていきたいのか」を創造していける、エンパワメントにつながるものでした.子供がその作業を「どうしてできないのか」を伝える時に、専門的な知識からわかることをしっかり伝えることも重要だな、と感じながら見学させていただきました.医学的な情報を他職種でもすっと入っていくように噛み砕いて伝えていらっしゃる、Y先生の素敵なところも学ばせていただきました.


私は直接介入をしてこなかったのですが、そういった面を吸収して、沖縄にもこんな素敵な地域の連携を輸入したいです.
機関同士の体制も、保育士の姿勢も、日頃から勉強会などY先生や一緒に働いているPT,STのスタッフの皆さんが地域に働きかけてきた、ベースがあるからのようで、それも含めた体制づくりを学べた岐阜旅行でした.


ちなみに
食事にも感動!!



2013年10月2日水曜日

作業遂行評価を教えています



作業遂行評価を学生さんに教えています.
学生に「作業」について教えている時と、「作業遂行」について教えている時、我を忘れます(笑)



作業遂行は「その人が、その環境で、その作業をするとき」の遂行の質をみています.
当たり前.作業遂行評価なんだから・・・と流しそうですが、実はとても奥深い.


さて、授業では
1.人がその環境で“ある作業”をするときの遂行をありのまま見ていきます.
2.そして書き出したことの中から作業遂行上「問題となること」と「利点となること」を挙げます.
3.作業遂行評価の考察:クライエントの作業遂行上の重要な問題点と利点を考察します.
4.問題となることの要因を考えます.仮説です.
5.仮説で立てた要因を立証できる評価を考えます.

この工程の中の「3」が授業での一番の見せ場だと私は思っています.

この写真は、Kさんが人参の皮むきをしているところです.

この場面について学生さんが言いました
「麻痺側で握っている人参が動いて,皮がむき難そうです」
「皮むきに少し時間がかかっています」
慣れてくれば、学生さんも行為を抽出する目が育っていき、こういうことにすぐ反応していくことができます.作業遂行上の問題点と利点を抽出することは練習で上達していくのですね.


さて、3.作業遂行評価の考察 の部分
『重要な問題点・・・麻痺側で支えた人参が滑ってしまうため皮むきに少し時間がかかる』
学生さんがノートに書きながら言いました「先生、これでいいんですよね?」
そして必ず聞き返します
「あなたが,この方にとって料理を作業と感じたのはなぜ?」
学生さんは答えました
「この方は魚をさばくことも話していました.振る舞うためなんだと.家族や友人にです.今は息子さんがさばいてくれるけど.あと、麻痺側でもこんなふうに人参の皮むきに使えるんだよ!って笑顔で話していました.麻痺を負った手でも自分の大切な料理に参加できることを健康だと意識しているようでした・・・」
(↑学生さんがこうスラスラ話したわけではありませんが(笑)まあ、こちらでインタビューしながら引き出すと、学生さんの多くは、クライエントから肌でそのストーリーを共感しています.意識に登るまでは若干のお手伝いが必要ですが.)

そしてもう一度聞きます
「この方にとって、皮むきに時間がかかることは重要な問題点だった?」

この学生は
「Kさんの生活環境(時間があることなど)も考えると、料理に時間がかかることは重要な問題ではない。むしろ時間をかけてでもやれるという利点だ」と話していました.
「最も重要な問題点は”食材や道具を運ぶ時に人の手が必要なこと”.これでは奥さんや友人(客)に台所まで来てもらうことになってしまうから、振る舞うことにならない」と考察していました.




「作業遂行評価の考察」この過程で、学生さんが少し、作業遂行を考えることにぐっと踏む込むことができるかな・・・と教員の願望も含め感じています.



支えた人参が滑って皮がスムーズに剥けないことはAMPSで言えば、gripsやcoordinatesにあたります.作業遂行上の質を低下させていることは事実です.
しかし、それがそのクライエントの作業遂行上の「重要な問題点」か否かは、作業の意味を深く理解していないと紐解けないと感じています. 

そして、ここの理解を通過すると「全体像」「考察」といった情報を統合する力にもつながるのではないかなー.と授業を進めています.



明日は@ryukyuOTさんを迎えて
ここから巣立った学生達がケーススタディを行ないます.
私自身が楽しみです!