2014年2月5日水曜日

相手を理解することーインクルーシブ教育ー

先週は二男が頭から出血
今日は三男が左肘を脱臼
男3人を育てるって…末恐ろしい。とちょっと感じている今日この頃。


平成19年4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ、障がいの有無に捕われず、自由な学びの場の選択がされるようになってきました。障害を持った子も一つ屋根の下で共に学び、互いを尊重し合い、共存社会に向けて成長していこう!インクルーシブ教育の考えの下「互いの理解」もまた重要な学びとして考えられています。

インクルーシブ教育
人間の多様化の尊重などの強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とすることの目的の下、障害のある物とない物が共に学ぶ仕組みである。(H24年7月23日 共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進)



学校現場でも互いを理解しようという流れを感じます。しかし、先生方の多くは何を理解することが大切なのか、悩みも聞かれます。


 以前、校内研修に参加した時
「友達を叩くことも、授業中立ち歩くことも、その子がしたくてしているのではありません。自閉症という障がいによって、器質的(脳の機能)問題によって引き起こされているんだと、理解しないといけない」
と説明がありました。

現状は、障がいによって困難さを生じているんだという「障害」を理解しようという視点が多いようです。


実際に5年前幼稚園に介入した時
 ”言葉が話せない” ”1人でしか遊ばない” ことに対し
「自閉症という障害によってうまく話せないんです。お友達が嫌いなわけではないのよ」
と先生が子ども達に伝えていました。

その時子ども達は
「ああ,あの子は、話せないことは仕方が無いんだ…」
「かわいそうなんだ…」
と理解し ”自閉症の子の対応の方法” を先生から学んでいました。



作業療法の視点では、
「言葉が話せない」原因(障害)よりも
この幼稚園で先生・本人・友達が「何がしたいのか」が最も重要なこととして理解を進めていきます。その視点は支援において協働関係にある先生にも伝わります。


「先生が子ども達に届けたい教育」
「対象のお子さんが学校でしたいこと」
「友達がしたいこと」
そのみんなの「したい」に対し、何ができて何ができないのかを共有し
どうしたらできるのかを、当事者が考えていけることを支えることが
作業療法士の役割です。


5年前、作業療法士として介入した学級では
「互いを理解すること」について先生が子ども達に話しをしていました。

  • 先生が互いの違いを尊重し学び合える仲間であってほしいと願っていること。
  • 対象の男の子がみんなと一緒に遊んだり掃除をしたいと思っていること。
  • 男の子はそれをする時に、言葉で伝えることが難しいこと。
  • 男の子はそれをする時に、どうしたらいいのかルールを理解することが難しいこと。

そして「あなた達はどうしたいの?どうしたらいいと思う?」と問いました。
互いに関わりやすい環境を整えたのは先生でしたが、その環境の中で、自分がこの子とどう付き合っていくか?それを一人一人が考え、それぞれの子が自分のやり方で、この男の子と関わり合い、遊びも掃除も一緒にすることができました。



作業療法がお手伝いして、学校現場でおこなわれる”互いの理解”は
いつも「この子が何をしたいと願い、先生が子ども達に何を期待し、そしてそれをするにあたって何が困り、何が上手にできるのか?」…互いの作業作業遂行について。
そこから関わり方を考えるのは、いつも子ども達自身です。


このように相手がしたいことを知り、
どうしてできないのか、どうしたらできるのか、
主体的に考える「互いの理解」は
相手を尊重し、互いの可能性を十分に引き出して
この社会でどう生きていくのか自身で考え、遂行する。
共生社会に向けたインクルーシブ教育だと感じています。





お互いの「したい」に目を向ける

子どもでも、大人でも、それができる社会を目指して
学校の作業療法を続けています。
そしてそれができるツールとしてADOC for schoolをつくっています。