2011年10月20日木曜日

4歳から6歳,目的を持つということ。

0歳から2歳
母親から沢山の愛情を受けて子どもは『希望』を持つ。

2歳から4歳
希望を持って世界を見たとき「自分でやってみたい!」そう子どもは『意志』を持つ。

4歳から6歳
意志を持って向かう“先”を…子どもは『目的』を持つ。

6歳から12歳
目的を持って自分でやっていく作業が成功することで,子どもは自分の『才能』を発掘する。


幼稚園の子どもたちは,ちょうど目的を持つころですね。
友だちに認めてもらいたくって遊びを頑張ることも,
先生に認めてもらいたくて給食を完食することも,
親に見てもらいたくて運動会のお遊戯頑張ることも,

あんなにキラキラした眼差しで
純粋にその作業に向かっていけるのは
そうやって,育まれた希望と意志の先に目的を見つけたからなんでしょう。


幼稚園には
沢山のルールと,沢山の課題と,沢山の人がいます。

朝の会で先生の話を座って聞くことも,
制作活動でハサミを使ってロボットを作ることも,
協力しながら遊ぶことも,
子どもにとって全てが乗り越えないといけない壁が沢山ある作業です。

でも,それを乗り越えられるのは,そこに“目的”があるからです。




だからこそ4歳から6歳の間は
幼稚園社会の中に沢山ある『作業』と,どう出会うかが大切なのです。
出会った作業に,その子自身の内発的な目的を持てるか否か
それが重要なのです。



2011年10月15日土曜日

ここからは任せてください。





1年生の女の子は授業についていくことが出来ず
支援員の先生が授業の準備から片付け、
ノートの書き取りまで、全てを手伝っていました。


この生活が半年続き、女の子の中では
授業は頑張らなくてもやってもらえるものというものとなり、
授業中支援員の人がしてくれることを待ち、
話を聞くこと、
自分で考えること、
急いでノートを書き写すこと、

担任の先生が女の子に伝えたい大切なことと
向かい合わないまま時間だけがすぎて行きました。




担任の先生は女の子に
『みんなと同じ様に頑張ること、
少し難しいことにもチャレンジすること』
1年生のうちにその気持ちを育みたいと話しました。


そして、そのためにも
授業に向き合えていないことをちゃんと注意したいんだと話しました。
女の子もクラスの他の児童もみんな一緒なんだ!
そのことを女の子に届けたいという想いを込めて…



担任の先生が、女の子に先生が期待することを届けるために
問題となることを共に考えました。
「女の子にとって、頑張って参加できる環境なのか?それがわからないこと」だと
先生は話しました。

女の子がどんなことに困りどんなことはできるのか
それを知るための評価をすることを先生と約束しました。


女の子が授業に参加する時、
姿勢が保てず、安定して黒板を見れないこと。
姿勢が不安定なため、授業中2回以上椅子から落ちること。
斜視があるため字を横に追って見ていく際に違う段を見てしまうことがあること。
2語以上の単語を覚えられず、1つの文章を書き写すのに、何度も見て書き写すため、時間がかかること。
姿勢の安定も関係し、鉛筆を持つ手、紙を押える手に力が入るため、スムーズに動かず、書くことに時間がかかること。

といった壁を乗り越えていることがわかりました。

先生はそのことを知り、
姿勢を安定させることを取り組みたいとしまいた。


手帳を使ってクッションを作ることを試みましたが、
病院側の協力は得られず、
自作で頑張ることになりました。

クッションを作ろうと決めた日、
集まったチームの人たちの手には
沢山の材料が握られていました。

みんなそれぞれ考えて持ってきたんだと話しました。
それを使い学校の小さな学習椅子で女の子が
姿勢を保てる工夫を伝えました。



1週間後

昨日、先生が見てほしいと嬉しそうにいい
指差す方には綺麗に縫われたクッションがありました。
先生は100均とホームセンターを回って材料を集め作ったんだと話してくれました。


女の子は授業中ずり落ちることなく、
参加することができる様になりました。

先生は沢山の量を書き写すことで
女の子が授業に参加出来ないことをなくすために、
大まかな内容を書いたプリントを事前に渡し、
授業で黒板から書き写す内容を、穴埋めしていくようにすると提案しました。
これは、斜視によってずれて読み取ることの助けにもなると先生と話しました。



話し合いが終わり、最後に先生が一言
「これで準備万端。もう授業に参加出来ない理由はないはね☆
後は頑張ることと向き合える教育ね。
OTさん、後は任せて!」




 
任せましたよ。先生。

2011年10月3日月曜日

精いっぱい作業と向き合った先に

子どもの将来に向けて、
今、したい、するべき大切な作業に焦点を当て、その実現を目指す支援は、
その支援をしようと心に決めた瞬間からその子の作業になる。
例えどんな結果でも、思ったようにその作業が実現できなかったとしても、
そのことさえその子の人生のワンピースになる。

そう思う。



1年前に関わった男の子。
男の子は保健室から出られなかった。
教室に行けなかった。

お母さんは男の子がその社会の人の協力の中で参加していけることを願っていた。
クラスに参加できること、
クラスの友達と一緒に運動会に出られること。
クラスの友達とクリスマス会を企画すること。

沢山の作業を先生達は男の子に届けた。



あれから1年。
男の子はなかよし学級にいた。

でもお母さんは今の彼の姿を誇らしいと話した。

クリスマス会を通して、
運動会を通して、
男の子もお母さんも先生も
人と向き合うことがとても難しいことだと感じたという。
思いっきり頑張って、
誠意いっぱいやって得たその結果から、
男の子が関われる人の輪を探すことにしたと言う。

クラスの人の輪から
支援学級の人の輪に
今作業をかえたけど
今の作業に満足しているとお母さんは笑顔で話してくれた。

2011年10月2日日曜日

相手に伝えるということ

相手に伝わらなくてもいいんだと思って純粋さをつらぬけば、
逆にその純粋さは伝わるんだよ。



岡本太郎

2011年10月1日土曜日

50m走を笑顔で走ってほしいから

「ようい ドン!」
女の子はその音にびっくりしてないていました。

先生に手を引かれ走る50m走
必死になってその手にすがる女の子
その表情からは恐怖しか感じ取れず
走ることを楽しむ余裕は全くないようでした。


先生は
これから先、いろいろなことにチャレンジしていける自分の可能性を感じて欲しい。
その為にも、運動会の競技に彼女が主体的に参加できることを大切にしたい。
そして、その姿を通し、友達と協力しあって課題に参加していけるクラス環境を作りたい。

女の子に願っていることを話してくれました。


運動会で50m走と竹馬に女の子が主体的に参加できること、
支援員ではなく、友達の協力の元参加できること

それが先生との目標となりました。



女の子は見ることに困難があるようで、
1m以上離れたものをはっきり見ることも、
視覚的情報から、物の距離感やその物の質感を捉えることも難しいようでした。

その為、運動会の競技では
広い校庭を走ること
ゴールの方向を捉えること
どれぐらい走ったらいいのか知ること
安心して走ること
ができずにいました。


女の子は
足で踏みしめている感覚
手で支えている感覚
それを十分に感じ取ることができずにいました。

その為、運動会の競技では
竹馬に足を乗せ続けること
真っ直ぐ走っていると感じること
ができずにいました。


でも女の子は
手のひらで感じ取ること
音を聞くこと
がとても上手でした。
わかる事(情報が入れば)の中では身体を使う事も上手でした。

そして何より
自分のしたい事に真っ直ぐ向かっていける気持ちを持っていました。

女の子は自分がわかる世界の中で
とても積極的で、笑顔でした。
知っている場所では友達と手をつないで走り、
信頼できる友達とは新しい事にもチャレンジしようとしていました。

そんな女の子の姿に
友達も積極的に関わろうと
いつも女の子のそばに友達の輪がありました。



先生は
女の子が困っている事、
女の子が上手な事、
女の子が、自分のしたい事に向かっていこうとする気持ちを持っている事、
を知り、支援を考えました。

50m走では
スタートからゴールまで紐を張り、
その紐を触れながら走れる様にしました。

竹馬では
竹馬の足の部分にスリッパの様なカバーを作り、足を載せるのではなく、履く形にしました。
竹馬に鈴をつけ、鈴の音を手がかりにできる様にしました。
ダンボールと発泡スチロールで出来た竹馬の底に、薄いベニア板を打ち付け、地面の感触を竹馬全体に伝わり易くしました。




50m走

女の子は初めて、1人で走りました。
そして笑顔でした。


竹馬
女の子は介助しようとする先生に
手で”どいて”と合図し1人で歩きはじめました。
普段外を歩くときに人の手を離した事もなかった女の子の竹馬の姿を見て
「歩くよりも上手!」
と先生も興奮して言いました。




明日は運動会

天気にな〜れ