2014年1月12日日曜日

臨床作業療法実践研究会 in静岡

沖縄は大きなヤカンにお湯を沸かして、その中にお茶っ葉を放り込んでしまう”お茶文化” 
静岡の本格的なお茶文化はすごい!




よし!お土産はこのお茶の味を届けるんだー。と急須も大人買いw



1月11日におこなわれた日本臨床作業療法実践研究会で講演してきました。
今回は念願だった齋藤先生とご一緒されていただける、しかも、じっくりお話をお聞きしたかった建木先生ともコラボでの発表。お話をいただいた時から嬉しくて待ちきれない研究会でした。



病院でOBPをする(齋藤先生
 齋藤さんが始めからあんなに面接が上手で、クライエントと寄り添い、生活に目を向けていた作業療法をしていたわけじゃなかった…これはびっくりでした。機能回復に熱く燃えていた時代もあったそうで、少し想像できませんね。
そんな中、COPM、作業科学との出会いで自分の中野作業療法のアイデンティティが変化し、作業療法の可能性に気づいていったそうです。


「自分の考えを発信し続けた…誰も理解してくれなかった…」
 始めから考えに賛同し、今のような病院の動きになっていったわけじゃなかった。その苦悩をお聞きすることができました。私自身が感銘を受けたのは、齋藤さんが病院内の既存のシステム(評価用紙や連絡票、カンファレンス)を通して、そこに入り込みつつ、自分のしたいことにみんなが主体的に参加していける形に変えていったことでした。新しいことをしたい!私はそう思うと、自分の「したい」を相手(同僚・組織)に真っ向からぶつけてしまいやすい。でも齋藤さんの活動は、寄り添うように、既存のシステムを尊重し、みんながいつもやっている業務に少しずつエッセンスを入れなが、組織を動かしていくものでした。

専門職が専門的な仕事をすればするほど他職種とのパラダイムにズレが生じる
 その通りですね。しかも、それを自分が合っているんだと専門性を前面に打ち出せば、なおさら他職種は引いてしまう。
「恐れて行動しなければ何もかわらない。しかし、強引に行動してもかわらない。」
…!!!! 今までの私の経験を振り返って、そうだ、そうだ、と思い当たる印象的な言葉でした。その突破口として、「クライエントの変化を感じてもらうこと」の話しに、同感!ともちろんその後の自分の話しの時に便乗して話させていただきましたw

具体的な取り組み
カンファレンスに忙しく情報を一方的に話す形になりやすいDrの参加を初回は抜いてしまうとか(0回目のカンファレンス)、通常、情報を記入してから望むカンファレンス用紙は毎回白紙でスタートするシステムとか…
ええ!っとびっくりする取り組みも、その目的や思いを一緒にお聞きしていく中で、なんて斬新で利にかなってるんだ!と、その行動力と発想に勉強になることばかりでした。


「最も効果的な要素はクライエントの変化!
その変化をシステムづくりや環境づくりに活かせるかがポイント。」

そう話す齋藤さんの作業療法と、組織を愛する優しい語りに、やっぱ素敵な作業療法士だな…と齋藤さんの魅力を満喫した1時間20分でした。




新しい場所をつくる(建木先生
待ってました!! 建木さんから何がお聞きしたかったか…すべてです。どうしてここまできたのか、何が心を動かしたのか、行政とどうやって向き合ってきたのか…みんな聞きたい!!



 建木さんも作業療法のスタンスに悩み、CMOP-Eなどモデルに出会ってパラダイムシフトが起ったそうです。授業で高次脳機能障がいの当事者の方の語りを聞く機会があり、それがターニングポイントとなって今の活動の一歩を踏み出したそうです…。そんな先生の歩みを一緒に体験させていただきながら、試行錯誤された経験を持って大切なことを共感させていただけるお話でした。


「居場所がない」当事者の声
建木さんの活動は、クライエントにはじまりクライエントに終わるものでした。クライエントの声を聞き、その思いを実現させるためにどうしたらできるのか?その問いに答えていく活動が今のすべての動きの源になっているようでした。
30〜50歳の障がいをお持ちの方々の行き場がない!
「デイケアが本当にあっていますか?何もしないで家にいることを想像できますか?」建木さんの問いかけに、その問いすら持たずに送り出していた新人の頃の自分の作業療法を思い出しました。
行き場がない→ならば…つくる!シンプルですが、その行動にベクトルが向いて動き出せた建木さんの行動力に感銘を受けました。

居場所づくり
福祉,行政,制度,企業…社会の動きを把握しながらおこなうこと。
法人化によってカタチを作ること。
何ができるのか!実践を通してみせること。
当事者の想いをカタチにするための居場所づくりの話しでは,建木さんの様々なポイントをお聞きすることができました。急発進に見える建木さんの行動の中に、回りの動きを把握する眼力に、私自身が最も勉強不足なところだと反省。
「自分は思ったら何でもやってしまう。でも続けることができないのが欠点。仲間をつくることはそんな欠点を持っていても、それを誰かがサポートして進んでいける。仲間は大切なんだ」
この言葉をお聞きした時は、大変親近感を感じるとともに、仲間の大切さを身を持って感じていたので感動でした。



「人の作業をつくること。そのための場所をつくること。
あなたの作業療法士としてのスペアタイムをどう使うか?」

建木さんの熱い想いに、自分のスペアタイムの使い方をもっと楽しもうと感じた講演でした!




地域と関係をつくる
 今回の研究会で、私は今まで封印してきた想いを出そうと決めていました。自分なんかが語れることはない。まだまだ人に話せることができていない。そう感じつつも、いつかは胸を張って話したいと夢描いていた場でもありました。



「胸を張って」が飛び越えて半泣きしながら…になった研究会での発表でしたが、夢がカタチになった瞬間に感動でした。
「聞き手の反応が語りを導く(ほんとうの自分のつくり方,榎本博明)」
会場の雰囲気と、うんうんと頷いて聞いてくださる聞き手の先生方、その環境の中で心を解放して話させていただきました。



アンケートより:
  • 届けたい教育という相手サイドの語りに耳を傾け。作業を主人公に関わっていくことの大切さを感じました。
  • 「なぜ」を大切にクライエントの意味ある作業の可能化や、自分の信念を実現させていきたいと思います。
  • 自分も「思い立ったが吉日」で信念を持って行動していきたいと思いました。
  • OTとしての価値観が大きく変わりました。
  • 高次脳機能障害をみる際に「問題」ばかりに目を向けているなと考えさせられました。自分にも「何故それを問題に感じているのか?」問いを持ちながら臨床に望みたいと思います。
  • 作業療法とは何かを感じることができました。明日からいっぱい発信し、関係づくりに努めていきたいと思います。
  • 伝える重要性を改めて考えさせられました。
  • 「作業に焦点を当てれば、今変えていくことができる」私も鳥肌でした。
  • 信念を持って取り組めば自分のしたいことが叶う、私も信念を貫いていこうと思いました。
  • 分野は違いますが目指すところは同じで「子どもに何を届けたいのか」を語ってもらう過程で、OTとしての視点が必要になってくることがわかりました。
  • 今日伺った面接のポイントを再度見直してクライエントの想いを大切にした作業療法を提供したいと思います。
  • これから自分の信念を見つけていければと思います。
  • OTはいろんな場所で支援できると感じます。
  • 病院勤務でもできることを実践していこうと思いました。
  • とても熱く優しい講義であり、自分のOT魂を揺すぶられる時間でした。今後のOTとしての自分の物語を良くしていきたいと思います。
  • OT面接で大切なこととして「自己紹介での目的と役割を伝えること」にはハッとさせられました。Clに語ってもらうために、自分がどんなことのためにいるのか伝えていけるようにしたいです。
  • 「作業療法のファンになる」もっともっと自分も好きになりたいです。
  • 「障がいよりやりがい」身障分野でも同じですよね!
  • OTは障害じゃなく作業に関わる職種だという当たり前のことを改めて感じ、OTの職域の広さや楽しさを感じました。
  • 「感動しました!」←私も!!
 沢山のご感想とご意見に感動です。先生方の聞き手パワーのお陰で昨日の発表は出来上がっていますので、先生方に少しでも臨床に持ち帰ることのできるお土産をお渡しできればと願っております。

**発表に関する資料がなかったことでご不便をおかけして申し訳ございません。
「欲しいなー」と言ってくださった先生方もいらっしゃいますので、ご希望の方はお知らせください。メールでお送りいたします。 

ほんとうに素敵な機会をありがとうございました。




鈴木先生
貴重なお休みをお付き合いいただきありがとうございました。

「静岡は観光に行けるところがない」とのことでしたが、沖縄では味わえない風景、風、味、文化を堪能させていただいた3日間でした。ありがとうございました!
ESIで鈴木さん、建木さんにお会いできたことを感謝しております。






長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。