2012年2月17日金曜日

娘のこれからに可能性を感じられること





母親は娘の作業を知って泣いていました。
作業を通して成長する娘の姿を見て泣いていました。

この涙に深い訳があることをこの後話してくれました。

5月
女の子は教室に入ることができずにいました。

友達と関わることも
物作りを楽しむことも
何ひとつ参加せず
1人外にいました。

先生は
話をしない、目を合わせてくれない、人と関われない
そんな女の子に
どうしたらいいのか分からないと
教室に抱えて入れていました。

それ以外,ただ見つめることしかできずにいた先生が女の子に
『安心して幼稚園に参加してほしい』
『クラスの輪に入りたい、参加したいそう感じてほしい』
『女の子が楽しんで活動に参加できるよう環境を整えたい』
と願っていることを確認することができ支援がはじまりました。


女の子は
暗黙のルールがわからず困っていました。
自分の回りで人がザワザワすることが苦手でした。

でも、作業を止めている一番の要因は
女の子自身の心が参加しないと決めていることであると
AMPSから判断することができました。

女の子は幼稚園という社会に不安を感じていました。
自分が我慢すればいい、そう腹をくくっているようでした。
傷つく前に参加しないことを選び
自分は“期待されない存在”なんだと

『認めてほしい』と願う自分の作業に蓋をしていました。  

先生はそのすべてを知って泣いていました。

2週間後

女の子は教室の中にいました。
製作活動では楽しく自分の作品を作り
友達を手伝っていました。
わからないこと、不安なこと、心にしまわず、先生に聞けるようになっていました。


先生は
女の子が心地いと感じてもらえる場所に席を移動し
できるだけ明確にルールを伝えたそうです。

「些細なことだけど,女の子に届いたみたい。
本当はお友達が好きで,ちょっとアネゴハダなんですね。」
女の子の姿を見ながら先生は笑顔でした。


女の子は全ての活動に参加するようになり,
その中でどんどん成長していきました。



 
昨日,これまでの女の子のことを
お母さんに全て伝えました。
 ビデオを見て
担任の先生が話す娘の成長を聴いて

お母さんは泣きながら話してくれました。

女の子は3歳の頃まで話をしなかったそうです。
そしてずっとつま先で歩いていました。
その様子に保育所から病院で診てもらうよう言われたそうです。

病院でDrは母親に
「この子は発達障害がある。これから先このことでずっと問題が多いだろう」
そう言ったそうです。

その言葉を聞いて,
母親は
障害=問題であるならばと
娘の障害かもしれないことを否定する道を選んだそうです。

保育所で沢山のことを言われ
苦しい毎日だったそうです。


幼稚園に入り,後1年すれば小学校・・・。
そう考えた時に,障害を否定している自分は娘の人生にいいことをしているのだろうか,
娘を苦しませているのではないだろうか
そう感じ,どうしていいのかわからず本当に苦しかったと話していました。




今日,幼稚園には
腹をくくってきたそうです。
きっと問題を沢山言われる。
障害を認めるよう説得される。
そんな不安をたくさん抱えてきたそうです。

そして最後に母親は
「始めて娘の全てを話せました。そして初めて娘のこれからに可能性を感じました。もうどうしたらいいのか胸を張って解決していけます。」
と話してくれました。


担任,母親,OTで
小学校で何ができることが大切なのか
そのために,どんな環境が女の子には重要なのか
それを実現させるときの生活リスクは何か
そのリスクはどうやって解決していくのか

話し合いました。

お茶とお菓子を囲んで…

 

小学校での女の子の成長が楽しみです











 

1 件のコメント:

  1. AMPSを行った結果、心理的問題が顕在化したという記述についてご質問を頂きましたので、ここでお答えします。ご質問ありがとうございます☆


    *****
    女の子のSchool AMPS の結果では
    運動技能もプロセス技能も
    同年代のお子さんに期待される課題に参加できることが示されていました。

    では、どうしてみんなと参加できないのか。

    それをその子の生活を通して考えました。

    女の子が3歳〜4歳の保育所の頃
    女の子は毎日掃除をしていました。
    同級生と過ごす姿はみられず
    いつも1歳組の小さい子の部屋にいました。

    保育所からの申し送りでも
    ・年下の子とは関われます。
    ・掃除が好きです。
    とありました。


    幼稚園の様子
    女の子は教室を出ていくことが沢山ありました。
    付いて行ったことがあります。
    女の子は幼稚園から出ていくことはありませんでした。
    いつも先生の目の届く範囲を歩いていました。
    女の子は先生が追って来るとすぐ捕まりました。
    素直に教室に入りました。
    そして教室に入ったときは
    活動に参加しそしてまた出ていきました。


    そんな女の子の姿に
    教室に入りたくても入れないんじゃないかと感じました。
    掃除は好きだからではなく、教室で唯一理解して参加できることなのかもしれない、
    先生の目が届く範囲にいつもいる女の子は本当は先生に期待されたいのかもしれない、
    そう感じました。


    これは確信ではないですが
    大切なことはこれら全ての情報を聞いて
    先生が女の子と向き合えることだと思っています。

    この先に先生が選択する手段を
    通してまた先生と女の子の作業を
    見ていくことを大切にしています。

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