2012年12月14日金曜日

先生達が支援に目標を持てること




巡回相談をしていて目標を持てないまま支援をしているケースは少なくありません。

いや・・・実際のところ、目の前の問題に対応することを目標にしているか、持たないまま支援しているケースがほとんどでした。


少し前になりますが、ある学校で
授業中出て行ってしまう、友達にすぐ暴力を振るってしまうという4年生の男の子の支援に関わりました。
お聞きしたところ、1年生の頃から気になる行動は多く、悩んできたとこのと。
先生方は沢山の時間を使い、試行錯誤してきたが、上手くいかず今もどうしていいかわからないとのことでした。そして、その支援には目標がありませんでした。

目標を持てない理由に
1.先生が目標(期待)を持っていいという意識を持てない。
2.目標をどのように立てたらいいのかわからない。
3.問題への対処が目標だと思っている。
4.医療的リスクに責任を持てない。
などがあると、現場から感じています。

特に4番目の理由は、「発達障がいについて理解しましょう」という強い流れが、「発達障がいへの対応をしましょう」という流れを引き起こした結果じゃないかと思います。
「発達障がい」について、専門家ではない先生や親は当然、その対応という支援に、責任も希望も持てないので目標もあげられない、将来なんて創造できない。だから目の前の問題をひたすら対処することになり、1、2、3番目の理由も起ってしまうのだと思います。


・・・ということで、
「先生が彼の将来に向けて届けたい教育は何ですか?」
を必ずはじめに聞いています。

教育は先生の専門であり、この質問から引き出されることは「先生が届けたい教育」という名の先生の作業です。
だからこそ、そこには先生の想いがあり、それを届ける先をイメージできます。
もちろん目標を持つこともできるのです。
そして、その目標を達成することで叶えたい将来を創造することができます。
その将来と目標をみんなでわいわい話し合ったら、
「どうしたら叶えられるかな」
「どうやって実現しようかな」
ってもうワクワクしてくるでしょ。

実際、こんな風に先生と面談していると、先生の表情が変わっていきます。
自分の届けたい教育に、先生自身がドキドキしているようです。
私はそんな先生の姿が好きです。



あの時の男の子は…
そんな先生達に囲まれて1ヶ月後、授業で手を上げ発言するようになりました。
衝動的に友達に暴力を振るうことに対し、彼自身が先生と一緒に気持ちを抑える方法を考えたそうです。

そして、その成長に一番喜んだのは、先生達でした。
それは、先生の届けたかった教育だったから。




「先生の届けたい教育は何ですか?」
それを学校の中で大切にしていけるために
ADOCs(小児版ADOC)を作っています

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